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バックボード(裏板)について
バックボードの役割
額縁を正面から見た時に、一番壁側にあるものをバックボードと呼びます。
バックボードの役割は、
- 裏面からの物理的衝撃を防ぐ
- 裏面からの埃(ほこり)や虫等の侵入を防ぐ
- 額縁の強度を増す
などが考えられます。
しかし、額縁や作品の性質を良く考慮しないで、バックボードを安易に選択していることが多いように感じられます。
バックボードの選択は意外に重要な要素です。
一般的にバックボードとしてラワンベニヤを使用することが多いようですが、ベニヤ等からは悪性物質が放出されています。作品や壁面に悪影響を及ぼすので、保存性を重視する作品には使用しないことが望ましいと思います。
作品とベニヤの接触により酸化が進行した紙作品。
鳥の子(和紙)を作品面に貼り、反対側に化粧紙を貼ったベニヤ。
この場合は、ベニヤの酸性物質を厚手の鳥の子が吸収することで作品の酸化を時間的に遅らせる効果があり、反対側に化粧紙を貼ることで、 ベニヤの反りを押さえ壁面への悪影響も緩和できる。
保存性能の高い厚手のフォームボード等をバックボードとして使用。
額縁の強度的に問題が無い場合は、この方法がベスト。
1.裏面からの物理的衝撃を防ぐ
額の構造や、デザイン的要素などから表面にグレージング(ガラス等)が無い場合は、裏面だけを保護してもあまり意味が無い。
2.裏面からの埃(ほこり)や虫等の浸入を防ぐ
作品が簡単に入替えできるトンボ式の場合は、埃や虫の浸入を防げない。
●油彩作品のバックボートとして、埃や虫の浸入を防ぐだけでなく、額の内部の温度、湿度を室内と同じに保つように加工した例
3.額縁の強度を増す
作品が簡単に入替えできるトンボ式の場合は、強度補強にはならない。
額縁と裏板がしっかり固定されて、初めて全体的に額縁の強度が増す。
●強度不足を補う目的で、 ツノ字が付けられた例
●強度不足を補う目的で、開き止めが付けられた例
●強度不足を補う目的で、カブセベニヤされた例
バックボードの選択
バックボードの選択は、構造面などから、一方的に額縁屋が決定する事がほとんどです。
当社では、作品の性質、使用する用途、額縁の構造、価格面などさまざまな要素から、額縁のバックボードを考えています。お気軽に御相談ください。
●デザイン的に作品の両面を見せたい事もあります。(ユニフォームの背番号や陶器の窯元を見せることもあります)
●機能的に裏面で収納したい事もあります。(大切な賞状の筒、勲章のケースを収容する機能をつけた例)
●機能的に入替えが簡単にしたい事もあります。(横開きで簡単に出し入れができるようにした例)
●波上のボードは、無酸の高品質接着剤を使用して額裏に貼り込み、有害物質の浸入を防ぎます。(作品の保存を最優先した額装の例)