HOME > フレームについて > 額縁屋のこだわり > マットボードについて
マットボードについて
マットボードの役割
現代的フレーミングに欠かせない額装マテリアルとしてマットボードがあります。
マットボードの役割としては
- 作品とグレージング(ガラス等)とを密着させないよう理想的空間を保つ。
- 版画・写真・ポスターなどの作品の余白を隠しトリミングする事で、作品を切らずに額装できる。
- 作品のイメージアップやインテリアとの調和を良くする為、色彩・デザイン効果を高められる。
- 作品の保存性を高める為に、作品自体の酸性化や外的悪性要素などから作品を保護する。
などが考えられます。
1.作品とグレージング(ガラス等)とを密着させないよう理想的空間を保つ。
上図のように、グレージングと作品の間はマットボードの厚み分の距離が保たれます。
目的として、デザイン的な要素はもちろんですが、作品に対しての保護効果として
- 室温と額の中の温度差による結露による影響を受けにくい
- アクリル等から発生する静電気による影響を受けにくい
- グレージングと作品が密着して離れなくなる事がない
2.版画・写真・ポスターなどの作品の余白を隠しトリミングする事で、作品を切らずに額装できる。
作品の余白部分は、一般的には作品制作上の事情や保護が目的ですが、当社では作品の余白部分も含めて作品として考えています。
それは、作品製作者が意図的に作った可能性があるからです。
3.作品のイメージアップやインテリアとの調和を良くする為、色彩・デザイン効果を高められる。
当社では額装時にマットを先に選び、その後にフレームを選びます。
作品に対して最も近くにあるマットが、額装時のデザイン的要素として一番作品に影響を与えるからです。
お客様のデザインや予算のご要望をお伺いして、作品が最も良く見える色、素材でカッティング方法やマットボードの巾を決定いたします。お気軽にご相談ください。
4.作品の保存性を高める為に、作品自体の酸性化や外的悪性要素などから作品を保護する。
マットボードは作品と直接触れる事から、品質の悪いマットボードは作品に悪影響を及ぼします。
そのひとつが酸性物質です。当社では下記の品質を基準としてマットボードをご提案しております。
品質の基準
当社で使用しているマットボードの品質を大きく分けると下記の3通りになります。
●標準マット
芯材はバージンパルプを100%使用し広葉樹と針葉樹をブレンドしている。
その為、強さと平滑性を同時に実現している。
不純物のほとんどないパルプを使用していることで漂白剤を使用せず、90.1%の白色度を持っている。
▼評価
表面紙 | マットの色は染料が中心のため、時間の経過により退色がある。 |
---|---|
芯材 | 弱アルカリ性の環境下にないと、徐々に酸化が進む。 |
適性 | 色数も豊富で一般的な作品のカラーコディネートに向いているが、大切な作品の保存額装には不向き。 安価にデザイン性を追及するのに最適です。 |
●上級マット(アートケアー)
良質のウッドパルプからリグニンを取除き、アートケアー機能を加え、尚且つ顔料にて着色した(退色しません)、最上級カラーマットボード。
美術館用としても使用可能な保存性です。
▼評価
表面紙 | マットの色は顔料のため、退色しない。 |
---|---|
芯材 | リグニン(※1)を取り除き尚且つアートケアー機能(※2)を併せ持つ。 |
適性 | 美術館用としても使用可能な保存性の優れたマットボードです。 色数も豊富でカラーコディネートと作品保存の両立が可能です。 |
(※1)リグニン マットの主原料であるパルプに含まれる酸性物質で、酸化の原因である。
(※2)アートケアー機能 マイクロチャンバー社が作品保護のため数多くの特許を取得しており、その保護機能を有するマットの総称。
●最上級マット(アートケアー)
現在これ以上の品質のマットボードは存在しません。
100%コットンラグを原料としています。
アルカリ性緩衝材の添加によりペーハー値は保存額装マットの標準である8.5±0.5に保たれています。
▼評価
表面紙 | マットの色は顔料のため、退色しない。 |
---|---|
芯材 | 100%コットンラグを原料としている為、リグニン等の悪性物質が含まれていない。 |
適性 | 特許マイクロチャンバー技術が悪性ガスを吸着し、作品を積極的に守ります。 全てFACTS(※3)のANSI/NISO Z39 48−1992(紙の永続性)の規定を満たし、PAT(PHOTOGRAPHIC ACTIVITY TEST)にも合格しています。 |
(※3) FACTS 日本以外の先進国においては、博物館や古文書、美術館等でマットボードやマウントボードの品質や永続性の厳しい基準がある。その中でも最も厳しい米国の基準がFACTSである。
保護機能 | アートケアー | 標準マット |
---|---|---|
作品や紙の劣化を遅くする | ○ | × |
化学変化により生成される酸性物質を中和する | ○ | × |
有害物質から作品を護る | ○ | × |
褐色と滲みの防止 | ○ | × |
アルカリ性PHを保つ | ○ | △ |
無酸で、更にリグニンを含まない | ○ | △ |